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はじめに


海外市場への進出は、多くの日本企業にとって必然であり、同時に大きな挑戦でもあります。日本と海外、特に英語圏との間では、文化や消費者行動が大きく異なるため、日本で成功した戦略がそのまま海外で通用するとは限りません。この記事では、日本と海外のマーケティングの違い、日本企業の海外進出の成功例や失敗事例を用いて、そこから学べるポイントを詳しく説明します。

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1. 日本と海外の消費者行動の大きな違い


日本と海外のマーケティングにおいて、最も大きな違いの一つは消費者行動と言えるでしょう。
テレビCMや雑誌広告などの従来のメディアは、依然として多くの人にとって重要な情報源です。特に高齢者層では、これらのメディアからの情報収集が主流となっています。
近年では、口コミやレビューも情報収集において重要な役割を果たしています。友人や家族からの情報はもちろん、インターネット上のレビューサイトなども参考にされるケースが増えています。

日本は集団主義の文化を持ち、社会の調和やグループ内での均質性を重視します。消費者は周囲との協調を大切にし、信頼できるブランドや長期的な関係性を特に重視する傾向にあります。そのため、情報収集に対する姿勢は、概ね受動的です。提示された情報をそのまま受け入れることが多く、批判的な分析よりも、信頼できる情報源からの知識を優先する傾向が見られます。

一方で、海外、特にアメリカでは個人主義が強く、消費者は自己表現や個性を重視します。製品やサービスを通じて自分自身を表現することを好み、カスタマイズやパーソナライゼーションを求める傾向があります。

アメリカでは、デジタル技術への依存度が特に高く、ソーシャルメディア、オンラインレビュー、モバイルショッピングといった技術が消費者行動に深く浸透しています。消費者は積極的に情報を求め、購入前にはレビューを参照したり、友人との意見交換を行うことが一般的です。

 

2. グローバル市場での成功へのステップ: マーケティング戦略の重要性


2.1 文化的違いへの適応

・理解と市場調査: 
成功のためには、目標市場の文化的背景、価値観、行動様式を深く理解することが不可欠です。市場リサーチを通じて、地元の消費者が情報収集する方法や、製品やサービスに対してどのような期待をを持っているかを把握します。

・文化的感度: 
広告キャンペーンやプロモーション活動において、文化的感度を持ってアプローチすることが重要です。言語だけでなく、色の使い方、イメージ、社会的な慣習にまで注意を払い、不快感や誤解を避けます。

2.2 ローカライゼーションの重要性

・製品のカスタマイズ: 
地域ごとのニーズや好みに合わせて製品やサービスを調整します。パッケージデザイン、製品仕様、サービス内容の微調整を行い、地元の消費者に好まれる、受け入れられやすいデザインにします。

・コミュニケーション戦略: トランスクリエーションの活用
トランスクリエーションでは、直訳では伝わらない文化的ニュアンスや地域特有の表現を活用して、ターゲット市場の感情に響くメッセージを作り出すことを指します。
グローバルブランドの核となる価値を維持しつつ、各地域の文化的価値や期待に合わせてブランドメッセージを適応させます。これにより、各市場においてブランドの認知度と魅力を最大化することが可能になります。

ローカライズについてもっと詳しく学びたい方は、ローカライズと海外進出の親密性の記事をご参照ください。

2.3 デジタルマーケティングの活用
日本ではリスティング広告など特定の手法に焦点が当てられがちですが、海外、特に英語圏ではデジタルマーケティングがより広範囲に及び、先進的な戦略やツールが活用されている傾向があります。
海外ではソーシャルメディアマーケティング、SEO、コンテンツマーケティング、インフルエンサーマーケティング、ビデオマーケティングなど、より多様なデジタルマーケティング戦略が一般的に取り入れられています。

2.4 消費者エンゲージメントの強化
海外消費者との強固な関係を築くための戦略として、エンゲージメントを高める方法を探ります。ソーシャルメディア、イベント、インフルエンサーマーケティングを通じて、ブランドの認知度とロイヤルティを高めるアプローチを紹介します。


2.5 リスク管理と市場分析
海外市場進出に伴うリスクを最小限に抑えるための戦略的な市場分析とリスク管理方法について説明します。市場のトレンド、競合分析、PEST分析を通じて、リスクを予測し、適切な対策を立てる方法を探ります。

 

3. 日本企業の海外進出成功例:Daikin (ダイキン工業)

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3.1 海外マーケティング戦略
ダイキンは、世界中でエアコンと冷暖房システムのトップブランドとしての地位を確立しています。この成功は、綿密な市場調査、地域ごとの消費者ニーズへの深い理解、そして効果的なブランドポジショニング戦略に基づいています。

・ニーズの理解と製品のカスタマイゼーション:
ダイキンは、各国の気候条件、建築様式、生活習慣を徹底的に調査し、それぞれの市場に最適な製品ラインナップを提供しています。ダイキンによると「例えばベトナムは伝統的に細長い家が多いから、強い風で遠くまで冷気を届けるエアコンが必要だとか。インドネシアなら家が小さくて、電力の供給量が少ないので、電力消費の少ない0.5〜1馬力以下の小さいエアコンがいるとか。電気代が日本と一緒で高いフィリピンだと、電気代がセーブできるインバーターエアコンでないと売れません。」
このアプローチにより、地域ごとの具体的なニーズに対応する製品開発が可能になりました。

3.2 ブランドポジショニング:
エネルギー効率の高さや環境への配慮など、ダイキンの強みを前面に出したブランドポジショニングを行っています。グリーンテクノロジーに関心の高い市場、特にヨーロッパの市場で強いブランドポジショニングを築くのに貢献しています。

ドイツ: 
ダイキンは、ドイツの再生可能エネルギーへの強い関心と厳しいエネルギー基準に対応するため、高効率の空調システムを提供。環境への配慮と消費者のニーズを満たす製品で市場に貢献しています。

北欧諸国:  
スウェーデン、ノルウェー、フィンランドなど、環境意識が高い北欧市場では、ダイキンのエネルギー効率の高いヒートポンプが暖房ニーズと持続可能な生活に応えています。厳しい冬を乗り越えるためのエコフレンドリーなソリューションを提供し、高い評価を得ています。


3.3 ローカライズの実践
ダイキンのグローバル戦略の核心には、ローカライゼーションがあります。製品の設計からマーケティングメッセージまで、各地域の文化やニーズに合わせた細やかな調整を行っています。

・マーケティングコミュニケーションのローカライズ:
広告キャンペーンやプロモーション活動において、ダイキンは地元の言語はもちろん、文化的価値観やコミュニケーションスタイルを考慮しています。地元の祝日やイベントを活用したプロモーションを行うことで、ブランドの地域社会への関与を強化しています。

ダイキンの事例から学べるのは、グローバル市場での成功には、ただ製品を販売するだけでなく、それぞれの市場の文化やニーズに深く根ざした戦略が不可欠であるということです。ローカライゼーションを戦略の中心にに置き、地域ごとにカスタマイズされたアプローチを取ることが、グローバルな競争を勝ち抜く鍵となります。


4. 日本企業の海外進出失敗例: 楽天 (Rakuten)

海外展開戦略の課題:
楽天は、日本国内での成功を基盤に、積極的に海外市場への進出を図りました。しかし、いくつかの市場で期待された成果を上げることができなかった主な理由は以下の通りです。

市場調査とローカルニーズの理解不足:
楽天が海外市場で直面した一つの大きな課題は、ターゲットとする市場の文化や消費者行動の深い理解に欠けていた点です。十分な市場調査を行わずに、日本市場でのビジネスモデルをそのまま適用しようとした結果、地域のニーズと合わない戦略を採ってしまいました。

ブランドポジショニングの失敗:
Rakutenのブランドポジショニングが海外市場(アメリカ)での成功を妨げた一因として、既に確立されている強力な競合との差別化に失敗したことが挙げられます。アメリカ市場では、AmazonやeBayなどの大手オンラインマーケットプレイスが消費者に広く認知され、強いブランドイメージを確立しています。

Amazonとの比較:
アメリカのeコマース市場における楽天とAmazonの最大の違いは、ビジネスモデルの根本にあります。Amazonは直接販売とサードパーティの販売者を組み合わせたモデルを採用し、独自のフルフィルメントセンターを通じて迅速な配送、幅広い商品の選択肢、ユーザーフレンドリーなインターフェイスを提供しています。これにより、Amazonは顧客体験を最優先に置き、市場での強力なポジショニングを確立しています。

一方で、楽天市場はプラットフォームモデルを採用しており、出店している販売事業者がほぼ全ての商品を販売しています。このモデルでは、配送サービスは販売事業者に委ねられており、その結果、配送品質のばらつきが生じ、顧客体験が不安定になる可能性があります。アメリカ市場における楽天のポジショニングにおいては、この配送サービスの充実化に対する遅れが、顧客中心のサービスを提供するAmazonと比較して、競争上の不利につながっていたと考えられます。


eBayとの比較:
eBayは個人間取引のプラットフォームとしての強みを持ち、ユニークな商品や収集品を求めるニッチな市場にアピールしています。Rakutenがこのような特定のセグメントに対してどのように自社をポジショニングし、競合と差別化を図ったのかが不明確であったと言えます。eBayと異なる価値提案やサービスを強調することが、ブランド認知の向上に寄与したかもしれません。

Rakutenがアメリカ市場においてAmazonやeBayなどの競合との差別化に成功していれば、消費者からの認知度を高め、市場での地位を確立することができたかもしれません。ブランドポジショニングの失敗は、消費者に対してRakutenが提供するユニークな価値や体験が何であるかを明確に伝える機会を逃したことを意味します。これから海外市場に進出する日本企業は、Rakutenの事例から学び、市場調査と戦略的なブランドポジショニングの重要性を理解する必要があります。

5. アメリカにおけるデジタルマーケティングトレンドの最新トレンド 

 

アメリカにおける最新デジタルマーケティングトレンドは、技術の進化と消費者行動の変化によって常に更新されています。中でもAIの活用は日々進化しており、顧客データの解析、パーソナライズされたマーケティング戦略の開発、顧客サービスの自動化など、デジタルマーケティングのあらゆる側面に革命をもたらしています。AIのトレンドを含めた、2024のデジタルマーケティングトレンドをご紹介します。

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5.1. 人工知能(AI)と機械学習の活用

・チャットボット:AIによる顧客対応は、24時間365日の顧客サポートを実現し、顧客満足度を向上させる不可欠な存在となりつつあります。

・パーソナライズされた顧客体験の向上:Netflix、Amazon、Spotifyなどの大手プラットフォームだけでなく、多くのB2CプラットフォームがAIを活用したパーソナライゼーションにより、個々の顧客に合わせたより充実した体験を提供しています。

例えば、サラさんがオンラインファッションストアで買い物をする場合を考えてみましょう。このウェブサイトのAIエンジンは、彼女がドレスを見る間に、過去の購入履歴や閲覧履歴、関与のパターンを分析します。このデータに基づき、プラットフォームは彼女の好みに合わせたスタイル、サイズ、色のドレスを提案するだけでなく、ピッタリのアクセサリー、メールマーケティング、特別オファーを通じて、あらゆるタッチポイントでユニークな体験を提供します。

・音声アシスタントの普及:日本では音声アシスタントの普及が進んでいない一方で、アメリカではSiri、Googleアシスタント、Amazon Echo(アレクサ)といったAI音声アシスタントが広く受け入れられています。2024年のレポートによると、アメリカの成人の半数が日常的に音声アシスタントを利用しているとされています。音声アシスタントのユーザー数が、2017年の799万人から、2023年には顕著な成長を遂げて1250万人に達したことが示されています。


5.2. ショートビデオ・マーケティング
ショートビデオマーケティングは、TikTokやInstagramリールのようなプラットフォームでのブランドの存在感を高める効果的な手段として注目されています。これらの短いビデオは、視聴者の注意を素早く引きつけ、長く維持することができるため、特に有効です。

Wistiaのレポートによると、ビデオの長さが短いほどエンゲージメント率が高く、60秒以下のビデオは50%のエンゲージメント率を、一方60分以上のビデオは平均で16%のエンゲージメント率を記録しています。この傾向は、マーケティング戦略においてショートビデオの重要性を強調しています。


5.3. ナノ/マイクロインフルエンサー・マーケティング
ナノインフルエンサーやマイクロインフルエンサーと協力するブランドが増えると予想されます。著名人や有名なソーシャルメディアのクリエイターと比べると、これらのインフルエンサーの方が比較的安価で高いエンゲージメントを獲得できるからです。

実際、「インフルエンサーマーケティングハブ」の2024年度インフルエンサーマーケティング状況報告によると、マーケティング担当者や企業は小規模のインフルエンサーとの連携を強く好む傾向にあることが示されています。


5.4. パートナーシップ・マーケティング
今後は、業界内での企業間連携は増加傾向にあり、このようなパートナーシップは互いの目標達成を容易にします。具体的には、ウェビナーの共同企画・宣伝、ポッドキャストでの相互出演、業界レポートの共同執筆、SNSコンテンツの相互共有など、多岐にわたる協力が考えられます。これらの取り組みは、相乗効果を生み出し、ブランドの価値を高める可能性があります。

5.5. UGCマーケティング(ユーザー生成コンテンツ)
さらに、ユーザーによって作成されたビデオコンテンツの増加が予想されます。この理由は、現在の消費者が、ブランドによって制作された高品質のビデオよりも、個人ユーザーの声を信頼する傾向があるからです。実際に製品やサービスを体験したユーザーからの直接的な意見は、その真実性が視聴者に深く響き、より強い信頼感を生み出します。このようなコンテンツは、視聴者が製品に対して良い印象を持ち、最終的に顧客になる可能性を高める効果があります。

 

6. Remarkの海外マーケティング支援:確実に成功に導く3つのステップ


6.1. Remark GPS (Gather, Process, Strategize) 
GPSのマーケティング健康診断(統合データ精査)は、海外市場を目指す企業や、すでに海外で活動中の企業向けに設計された独自のマーケティング・ヘルスチェックサービスです。

海外市場において日本国内マーケティング戦略をそのまま適用し厳しい結果となるケースが多くあります。成功を収めるためには、事前に詳細な計画を策定し、現地の市場環境や消費者のニーズに合わせた戦略を展開することが欠かせません。

GPSの「一歩引いて全体を俯瞰する」アプローチ

GPSは、「一歩引いて全体を俯瞰する」アプローチを通じて、海外進出時に遭遇する文化や市場の違いという落とし穴を回避することを提案します。これは、現在進行中のマーケティング活動を一時停止し、深い分析を行い、より良い戦略を練るための機会を作り出すことを意味します。

GPSサービスを利用する最大のメリットは、海外市場への進出を急ぐのではなく、成功に向けてしっかりと準備を進めることができる点です。このサービスを通じて、海外市場の挑戦を事前に特定し、対応策を講じる計画を立てることができれば、リスクを軽減し、成功の可能性を高めることができます。

簡単に言うと、GPSは貴社の海外で成功を収めるための羅針盤です。海外での成功を目指すなら、この重要な一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?

6.2. Transcreation (トランスクリエーション)
トランスクリエーションを、なぜ重要視すべきなのか?

トランスクリエーション(Transcreation)とは、Translate(翻訳)とCreation(創造)を掛け合わせた造語で、単なる翻訳にとどまらず、文化的なニュアンスや背景・意図、トーン、視覚的・聴覚的表現、歴史的文脈などを含めた文化的に適切で、より深いレベルでターゲットオーディエンスの心に響くメッセージを制作することです。
このプロセスにより、企業は現地の市場で自社の製品やサービスを文化的に適合させることができ、受け入れられやすくなります。


トランスクリエーションのプロセス

1.メッセージング概要の基礎
貴社のストーリー、価値観、約束などメッセージングの基礎を定義し、トーン&マナー(口調)、使用する用語など、ウェブサイトに限らず、どのメディアを通じても一貫性のあるブランドのメッセージングを作成するための土台を構築します。

2.ストーリー/コンテンツ・マップ
メッセージングの基本原則を踏まえて、ターゲットオ―ディエンスに合わせたウェブサイトの言語と構造、情報フローを設計します。

3.ムードボード
画像やテキスト、デザインモチーフ、テクスチャなど視覚的要素を用いたコラージュです。カラーパレット、フォントを含めウェブサイトのデザインの世界観、雰囲気を確認するためのデザインイメージとなります。

4.ビジュアルデザイン
貴社の言語ストーリー、コンテンツ・マップ、そしてムードボードを基に実際のウェブサイトの向けのデザインを制作します。 また、コーディング会社様向けのデザインデータをAdobe XDフォーマットにて作成します。


6.3.貴社にあった海外進出戦略をカスタマイズ

Remarkの特徴の一つは、型にはまったマーケティング戦略がなく、各企業に合わせたカスタマイズ戦略を提供することです。私たちは、各企業が直面する固有の課題や問題点を深く理解し、それに基づいて最適な戦略を提案することが重要だと考えています。
GPSの分析を通じて明らかになった課題と目標に合わせて、貴社専用の海外進出プランを制作します。


まとめ

海外進出を成功させるためには、現地の文化や市場のニーズを深く理解し、それに応じた戦略を立てることが重要です。GPSは、一歩引いて全体を俯瞰し、企業が抱える課題や潜在的な成長機会を明らかにすることで、より効果的なマーケティングプランの策定を可能にします。このアプローチにより、企業は文化的違いを乗り越え、現地市場でのブランドポジショニングを最適化し、競争優位を確立することができます。

さらに、トランスクリエーションの重要性にも触れ、言葉だけでなく、文化的ニュアンスや意図を正確に伝えることの重要性を強調させていただきましたが、これにより、企業はターゲットオーディエンスとのより深い共感とエンゲージメントを築くことができます。

海外展開を考えている、あるいはすでに海外に進出しているものの、現在のマーケティング戦略に課題を感じている企業様は、ぜひリマークへのご相談をお考えください。

 

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